第66回(平成28年)税理士試験分析-第1回

 第三問:総合問題

商品販売業の会社の決算整理後残高試算表について36勘定の金額を求めさせる問題です。

例年、実務家が作成する第三問ということで、実務色が強く出てきます。今回は、リベートの処理・営業担当者の仮払金の清算・仕入先との残高差異・直送品の処理に実務色が濃かったようです。

今回は特に、商品周りの取引関係が込み入っていました。仕入先が出荷基準で当社が検収基準であることから生じる仕入先買掛金と当社売掛金の残高差異について、明示されている差異に直送品未処理による差異が含まれるかがはっきりせず、影響が及ぶ仕入単価の推定にも期末商品の残高にも計算が進められない、という残念な状況もありました。

多少の怖さもありますが、そもそも簿記論は完答が時間的に無理な科目ですから、割り切って「自分はこう判断する」としてロスタイムなく解いていくのが良いと思います。この場合、後から判断を変えた時に修正すべき金額が分かるように、下書き上の工夫をすることが受験生として必要かなとは思います。

営業担当者の仮払の清算に関して「会社の会計処理は、支払時に仮払金勘定に計上した後、仮払金勘定の中で日ごとに、振替処理等をして、精算時に普通預金勘定に戻している。」という指示が、個人的には分かりにくいものでした。決算整理前残高試算表の仮払金の内訳明細として営業担当者への仮払金全額が明記されていたので、問題なく解き進められましたが、この内訳明細がなければ「日ごとの振替処理」ならば残高試算表上考慮済なのか?と考えて迷ったと思います。

最後に、外貨建転換社債型新株予約権付社債の出題がありました。固定された転換レートによって資本組入額を算定するものです。他の論点に比して難易度が高いので、本試験ではパスして良いと思いますが、今後のためには要復習な論点だと思います。

以上です。