公認会計士論文式試験 平成29年度 講評~第5回

 問題3:ヘッジ会計

細かな内容も問われましたが、半分は計算の知識で解答できたと思います。

問1:ヘッジの有効性の事後テスト

ヘッジの有効性の事後テストについての説明が求められましたが、正直、数値基準までは忘れてしまった方も多かったのではないでしょうか。また、相場の影響の累計で判断することも忘れがちな所です。この問は、書けなくても仕方ないと思います。

問2:独立処理と振当処理の相違

年度の利益の相違が問われていますが、為替の変動次第で損益も異なるので、どちらの処理が年度利益にプラスかマイナスか等は説明できません。

そこで、それぞれの処理について、損益認識されて年度利益に含まれる内容を指摘することになると思います。これは、計算の知識から解答できます。

「直々差額」と「直先差額」に分けて説明するように指示がありますから、特に「直先差額」を期間配分することをしっかり記述します。問3の伏線にもなっているので重要です。

問3:直先差額の期間配分の理由

振当処理が認められている理由が問われていますが、「直先差額」に注目して、「経過勘定の会計処理」との整合性の観点から説明するよう求められています。

そこで、「直先差額」が時の経過と共に発生する金利の性格を有することを切り口に、時の経過に応じて発生する損益として期間配分の必要性を「経過勘定の会計処理」との整合性として説明することになります。

「直先差額」が金利の性格を有するという知識がないと説明しにくい内容なので、その点で書ける書けないがはっきり分かれてしまう、差のつきやすい問題でした。