最近の論文式本試験③ ~ 所得税の計算(CPA)

最近の論文式本試験問題を振り返ってみようと思います。
第3回 ~ 租税法(CPA) ~ 所得税法の計算
所得税法が会計士試験科目となった2006年当初から租税法の講師を担当していましたが、当初は、租税法3科目の中で最も対応の難しい科目でした。税理士課の所得税の先生が「税理士の受験生でも所得税法を100%理解して合格する人はいない。」と断言するほど、もともと所得税法の学習範囲は広大です。なので、しばらくの間、所得税法については、的を絞れない、専門学校にとっても、受験生にとってもやっかいな科目でした。ところが、2012年から出題パターンが定型化し、租税法3科目の中では最も費用対効果の高い科目になりました。FINのテキストでは、2012年から2018年の本試験問題を全て紹介し、解説講義をしています。ここまで出題パターンが安定していると、過去問を解いてから、何を学習すべきかを考えて、自分の大切な学習時間のうち、どの程度を所得税法に費やすのを考えるのが良いでしょう。

2018年
計算の解答箇所が60箇所だったので、1箇所1点です。計算への配点は、法人税29点、所得税15点、消費税16点でした。
(第二問)問題2
出題論点と配点は次のとおりです。
各種所得の計算
・事業所得: 4点
・不動産所得: 1点
・給与所得: 1点
・譲渡所得(総合課税): 1点
・一時所得: 1点
・雑所得: 1点
・譲渡所得(分離課税): 2点

所得控除
・医療費控除: 1点
・社会保険料控除: 1点
・生命保険料控除: 1点
・扶養控除: 1点

 

2017年
計算への配点は、法人税30点、所得税15点、消費税15点でした。
(第二問)問題2
出題論点と配点は次のとおりです。
各種所得の計算
・雑所得(公的年金等): 1点
・雑所得(公的年金等以外): 1点
・給与所得: 1点
・事業所得: 2点
・配当所得: 1点
・一時所得: 1点
・譲渡所得(分離課税/上場株式): 1点
・譲渡所得(分離課税/一般株式): 1点

所得控除の計算
・寄付金控除: 1点
・扶養控除: 1点

課税所得金額の計算
・上場株式等に係る課税譲渡所得の金額及び一般株式等に係る課税譲渡所得の金額の合計額(A): 1点

税額の計算
・課税総所得金額に対する所得税額: 1点
・(A)に対する税額: 1点

税額控除の計算
・配当控除: 1点

2016年
計算への配点は、法人税30点、所得税15点、消費税15点でした。
(第二問)問題2
出題論点と配点は次のとおりです。
各種所得の計算
・配当所得: 1点
・事業所得: 4点
・給与所得: 1点
・譲渡所得(分離課税/土地): 1点
・譲渡所得(分離課税/株式): 1点

所得控除の計算
・医療費控除: 1点
・配偶者控除: 1点
・扶養控除: 1点

税額の計算
・課税総所得金額に対する所得税額: 1点
・土地建物の課税譲渡所得の金額に対する税額: 1点
・株式の課税譲渡所得の金額に対する税額: 1点

税額控除の計算
・配当控除: 1点

上記は2016年~2018年ですが、2012年~2018年の過去問を時間をかけて復習するのが最も効率的です。その際、テキストを参考にして、関連論点などを丁寧におさえにいって下さい。
所得控除については、試験委員にとって涎が出そうな改正があったので、改正論点は出題可能性が高いです。どこの専門学校も答練等でしっかりと出題しているはずです。ただ、租税法の改正論点は、過去に本試験での作問ミスもあったので、無理に深追いして傷を負わないように留意はおきましょう。