改正論点対策~公認会計協会の倫理規則

2022年7月の公認会計協会の倫理規則の改正は、2023年4月1日から適用になります。2023年度の公認会計士試験上、意識しておくべき内容について簡単に紹介します。

基本原則

公認会計協会の会員が遵守すべき倫理上の資本原則は次の5つです。

  1. 誠実性:率直かつ正直である
  2. 客観性:バイアス、利益相反、個人、組織、テクノロジー等からの過度の影響又はこれらへの過度の依存に影響されることない職業的専門家としての判断又は業務上の判断
  3. 職業的専門家としての能力及び正当な注意:職業的専門家として必要な水準の知識及び技能を修得・維持、勤勉な行動
  4. 守秘義務:業務上知り得た秘密を守る
  5. 職業的専門家としての行動:関連する法令等を遵守、公共の利益のために行動、社会的信用を傷付ける可能性がある行動をしない

このうち、「客観性」は改正前は「公正性」でした。内容に大きな変更はありません。受験上は用語の変更としてとらえておけば良いでしょう。

概念的枠組み

(1) 概念的枠組みを適用する際に、「探究心」を持つことが新たに要求されました。「探究心」を持つとは、以下を意味するようです。

 実施する専門業務の性質、範囲、結果を考慮し、入手した情報の情報源、関連性及び十分性を検討すること。

 更なる調査又はその他の行動の必要性に目を向け、注意すること。

ここでの受験上の注意点は、「職業的懐疑心」とは別の概念として整理されている点です。「職業的懐疑心」は簡単に言えば、批判的に評価することですが、「探究心」は批判的な要素は含まない概念のようです。

(2) 概念的枠組みにおいて阻害要因に対処する際に適用する「セーフガード」が再定義されました。改正前は「①阻害要因を除去又は許容可能な水準にまで軽減するもの」とされていましたが、「②阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するために講じる対応策」のみが「セーフガード」とされました。

阻害要因に対応策としては、①阻害要因を除去、②阻害要因を許容可能な水準にまで軽減、③専門業務の辞退または終了の3つがあり、このうち②のみが「セーフガード」とされました。

勧誘

勧誘」辞退は中立的な用語(会員個人の行動に不適切な影響を与える意図がないものも含む)であるとして、会員の行動に不適切な影響を与えることを意図する勧誘を禁止、行動に不適切な影響を与えることを意図しない勧誘については、概念的枠組みが適用されるとされました。


他にも、審査担当者の客観性に関する規定の新設されたり、報酬依存度や報酬関連情報の透明性向上にための規定が新設されたりしていますが、受験対策上はやり過ぎになるので上記位は覚えておいて損は無いと思います。

以上です。