租税法
論文式試験のみの試験科目である租税法は、法人税法・所得税法・消費税法が出題範囲で、中でも法人税法のウェイトが大きくなります。
いずれも、税法の規定に基づいて計算を行う必要があることから、ただ覚えるしかない事(例えば、少数点以下第4位を切り上げ等)も多く、一定の水準に至るまでに時間を要する科目といえます。また、税法毎に出題傾向も異なるため、それぞれに応じた対策が必要です。
配点は、理論40点、計算60点です。計算プロセスに配点はなく、理論も部分点があまり拾えない解答形式になっています。部分点が拾いにくいので、必要な得点が6割とするならば、「6割の知識×10の項目」ではなく、「10割の知識×6の項目」という得点方式になります。つまり、取りに行く分野で確実に得点し、捨てた分野には目もくれないといった姿勢で学習するのが賢いやり方です。
とにかく出題範囲が広大なので、真正面から取り組んでいては、いくら時間があっても足りません。メリハリのついた学習計画を立てて、それを遵守することできれば、なんとなく全体的に勉強したライバルたちに大きな差をつけることができるはずです。
理論は、国税3法から法人税法を中心に小問が9問出題されます。最近では、答案に根拠条文を示すことが要求されています。ということは、判例や通説、基本通達といった知識よりも条文理解を重視した学習が有効です。頻出条文である法人税法22条を中心に、専門学校が提供する事例問題について根拠条文と照らし合わせながら、一つ一つ丁寧に、結果として多くの事例問題にあたることを心がけてください。
計算も国税3法から出題されます。配点は、公表されていませんが、法人税法30点、所得税法15点、消費税法15点程度を想定しておけばよいでしょう。以下では、各税法別の計算問題対策を簡単に示してみます。
法人税法
会計上の利益に、いわゆる別表4の加算・減算を行って、課税標準となる企業の所得を算定するプロセスを問う総合問題が出題されます。
計算プロセスに配点がなく、各項目の加算額・減算額といった結果だけが求められます。
租税公課、受取配当、減価償却費、交際費といった頻出分野は、各受験校の生徒たちがしっかりと得点してくるところなので、専門学校の計算問題集などを利用して、十分に練習を重ねておく必要があります。
また、総合問題とは別に、特定同族会社の留保金課税といった個別論点も問われます。得点すべきところで得点しておけば、ここが白紙でも合格はできます。時間に余裕があれば、さらなるアドバンテージを求めて、未出題の個別論点に手を広げていくことになりますが、その際に、手を付けた分野は確実に得点できるまで学習し、むやみに手を広げすぎないことに留意してください。
所得税法
かつては法人税法の問題の中で「役員の譲渡所得」について問わていましたが、ストック・オプションといった個別論点も出題されるようになり、近年では、各種所得の計算から税額計算までの一連の流れを問う総合問題が出題されています。所得税法は出題範囲が広いため、今の出題傾向に合わせて、10問程度の良質な総合問題をこなしていくのが効率的な学習方法になります。
消費税法
最終的に企業が納付すべき消費税額の算定を行う総合問題が出題されます。
ただし、税理士試験の消費税法と異なり、難解な納税義務の有無の判定が出題されたことはありません。従って、仕入区分と売上区分の判定さえ正確にできるようになれば、満点も狙えます。逆に、この判定で一つでも間違えば、大きな失点になってしまうという怖さがあります。仕入区分と売上区分の判定を十二分にトレーニングすることが肝要です。