公認会計士平成30年度短答式試験第Ⅰ回 合格発表調べ

平成30年度 第Ⅰ回短答式試験の合格発表を受けて、結果の分析をしていきたいと思います。

平成29年度 平成30年度
第Ⅰ回 第Ⅱ回 第Ⅰ回
a.答案提出者数 6,045人 4,916人 6,569人
b.合格者数 1,194人 475人 1,090人
c.実質合格率(=b÷a×100) 19.8% 9.7% 16.6%
合格得点率(得点) 71%(355点) 64%(320点) 70%(350点)
平均得点率(平均点) 51.6%(258点) 43.7%(218.5点) 49.7%(248.5点)

 

詳しい情報はこちら → 公認会計士試験 平成30年度試験について

 第Ⅰ回 結果分析

上記からも分かるように、今回の結果は前年度とよく似た傾向を示しています。

全体として比較的解きやすい出題であったようで、合格得点率が高いにも拘わらず合格率が高く、合格者が1,000人を超えています。短答式試験全体としての(第Ⅰ回と第Ⅱ回合計での)合格者数は政策的に安定しているので、第Ⅱ回(2018年5月)の合格者数は絞られるであろうことが予想されます。受験者数が増加傾向にあるので、一層厳しい戦いになりそうです。

科目別の平均得点率を見ると、とりわけ監査論が易しかったようです。企業法は他の科目より平均点が高い傾向があるのですが、今回は全体としての平均点と同水準でしたから、標準的な出題であったことがうかがえます。

 第Ⅱ回に向けて

今回の平均点を引き上げた科目は監査論(平均得点率59.4%)です。ここ数年で最も高い水準です。ここまではっきり「易しかった」感があると、第Ⅱ回は反動で難しくなりそうです。実は、平成29年度第Ⅰ回の平均得点率を引き上げた科目は企業法(平均得点率60.7%)だったのですが、第Ⅱ回はやはり比較的難しくなっていました。

第Ⅱ回の対策として、監査論は正確な知識を身につけるように心がけ、余裕がある方は少し細かな内容にまで手を広げると良さそうです。だからといって監基報を読み込み出したりすると、果てしない気持ちになって心が折れがちなので、まずは、自分の中でグレーな知識を白黒はっきりさせる方を優先していって下さい。


平成29年度もそうでしたが、合格者を絞るために難化するおそれがあるのが財務会計論です。応用的な問題には果敢に挑んでいきたいところですが、実務的すぎる、細かすぎる内容の出題に対しては、受験上は思い切ってスルーする勇気も必要です。

計算対策としては、なるべく網羅的な問題集で類題をしっかり解いて基本的な処理を確実にしておきましょう。その後、応用的な処理・稀な処理に進みましょう。会計基準の例示にもないような稀な処理が本試験問題に出題されることは、それこそ稀です。

理論対策としては、適用指針にまでむやみに手を広げるのは負担が大きいので、まずは会計基準の重要な項目、計算に関連する規定とその周辺の項目、というように段階を踏んで知識を確実に積み上げていって下さい。

 最後に

第Ⅰ回短答式試験に合格した受験生の皆さん、おめでとうございます。短答式試験合格者からの論文式試験合格率は、思いのほか高いことはご存じですか?租税法や選択科目、短答式と論文式で傾向が変わる科目について、早めに対策をたてて、この勢いのまま最終合格を勝ち取って下さい。

第Ⅱ回短答式試験を受験される皆さん、今回は残念でした。今回の結果を客観的に分析にて、弱点科目の克服を心がけて下さい。また、自分のポジションをはっきりさせて、とにかく短答式試験合格に焦点を絞るのか、論文式試験まで見据えていくかも選択しなければなりません。論文式まで視野に入れるなら、5月以降の論文式試験対策に舵を切りやすいよう租税法や選択科目への取り組み方も考えいく必要がありますね。春に向けてもうひと頑張りです。

以上です。