令和2年度 公認会計士短答式試験第Ⅰ回~講評~財務会計論
問題11:工事契約(計算)
収益認識基準に関連して、駆け込みで頻出の工事契約です。ただし、今回は工事損失引当金繰入を売上原価に含めるという、収益認識基準適用前後で変更のないところから問われました。仕入諸掛や仕入値引・仕入割引についても問われており、入門ぽい内容です。
問題12:ヘッジ会計(理論)
ヘッジ会計の有効性の判定については、非有効部分の取り扱い(ア)や数値基準(ウ、80%~125%)が問われ、また、時価の変動要因を分解する処理(イ)のように、あまり計算問題では扱わないような実務指針から多く問われました。ただし、数値基準は過去に出題実績があり、加えて、ヘッジの中止と損失の見越計上(エ)について正誤がつけばなんとか正答できたと思います。
問題13:有価証券(計算)
確実に正答すべき問題です。
問題14:リース取引(理論)
アのファイナンス・リース取引の判定の論点は、中古車のように再販市場が確立している場合を想定しています。イはお約束の所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の入れ替え問題。ウの償却方法も定番の論点です。エは10%の重要性の数値基準が気になるところですが、こういった数値は正しいとするのが受験生的には無難です。ということで、イウの誤りが明らかなことから正答できたと思います。
問題15:リース取引(計算)
リース資産・リース負債を求める際のリース料総額に、維持管理費は含めない、残価保証額は含める、ということが分かっているかが問われました。標準的な短答式試験らしい問題ですから、難なく解けたと思います。
問題16:退職給付会計(理論)
計算要素も少しだけ含まれた問題です。アは従業員拠出の会計処理の知識で対応できます。イは会計上の見積りと考えて判断できるはずです。ウエは基礎率の変更と気付けば数理計算上の差異と判断できるので、費用処理が翌期からとの指示を読み落としてないことがポイントでした。
問題17:減損処理(計算)
割引前将来キャッシュ・フローを算定させる問題です。資産グループの主要な資産(B)とその他の構成資産(AとC)の取り扱いの違いを整理できているかどうかで正否が分かれます。管理会計論のようにタイムテーブルを作ると情報が整理できて良いと思います。
問題18:ソフトウェア(計算)
処理量が多いのも困りますが、誤謬の訂正があるプロジェクトCの扱いが不安になったかもしれませんね。前期に正しい処理をしたとして当期の処理をすればよいので、実は簡単です。
問題19:四半期財務諸表(理論)
全て典型論点からの出題です。正答必須の問題です。
問題20:企業結合会計(理論)
計算に直結していない論点が多く、難しかったと思います。