日商簿記1級 146回 解答・解説 商業簿記・会計学

受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。

順次、解答・解説をupしていきたいと思います。

まずは、商業簿記・会計学からです。

 商業簿記

今回の商業簿記は、決算整理前残高試算表に決算整理を行い損益計算書を作成する問題でした。問2として4つの注記事項も問われています。

「今回は難しかった」との声も聞こえてきますが、個人的にはそうでもないかな、と思います。

ソフトウェアの受注制作を行う会社の設定となっており、当期の発生費用の一定率をソフトウェア仮勘定、最終的にはソフトウェア売上原価として計上します。6つの発生費用の1つでも間違えると正答できないので、ここは正答できなくとも仕方がないかと思います。各段階の損益(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)の全てに配点があるとは思えないので、影響する箇所は2~3点でしょうか。

ソフトウェア売上原価は求められなくとも、進捗率は与えられているので、工事進行基準に基づくソフトウェア売上高と関連する売掛金の貸倒引当金繰入額は得点したいところです。

多少複雑な処理だったのは、その他有価証券です。前期末の時価評価差額について期首洗替えが未処理であり、未処理の帳簿価額(前期末時価)のまま当期の売却処理が行われています。従って、決算整理前残高試算表の投資有価証券売却益から売却額を推定する必要があります。ただし、貸借対照表項目は問われていないので、投資有価証券売却益だけならば、一連の会計処理が正しく理解できている方には簡単だったかもしれません。

注記事項で難しかったのは、繰延税金資産に係る評価性引当額です。「将来の課税所得と相殺可能な将来減算一時差異」つまり回収可能な一時差異は100,000千円であると指示されているので、当期発生した将来減算一時差異から100,000千円を控除し、適用税率30%を乗ずれば回収不能な繰延税金資産、つまり評価性引当額が求められます。

本問の将来減算一時差異には4つの発生原因があり(問題の指示あり)、ここも1つでも間違えると正答できません。従って、この注記と関連する損益計算書の法人税等調整額も含めて、できなくとも仕方ないかと思います。

以上を踏まえ、65~70%位が目安となるでしょう。

日商簿記1級146回-商業簿記・会計学