公認会計士試験 平成29年度短答式試験 第Ⅱ回 合格発表調べ
平成29年度、第Ⅱ回の短答式試験合格発表がありました。第Ⅰ回(12月)と第Ⅱ回(5月)を比べると圧倒的に第Ⅱ回の方が難しかったようです。
2017年 | 第Ⅰ回 | 第Ⅱ回 | |
a.免除者を除く受験者数 ※1 | 7,385人 | 6,045人 | 4,916人 |
b.合格者数 | 1,669人 | 1,194人 | 475人 |
c.合格率(=b÷a×100) | 22.6% | 19.8% | 9.7% |
合格得点率(得点) | - | 71%(355点) | 64%(320点) |
平均得点率(平均点) | ー | 51.6%(258点) | 43.7%(218.5点) |
※1:答案提出者を意味します。
※2:2017年の結果は属人ベース(名寄せ済)なので、第Ⅰ回と第Ⅱ回の両方を受験した人は1人としてカウントされています。
詳しい情報はこちら → 公認会計士試験 平成29年試験について
短答式試験 結果分析
公認会計士試験の短答式試験は、第Ⅰ回より第Ⅱ回の方が難しいとよく言われています。確かに、2016年と2015年の合格者数(実質合格率)は第Ⅰ回は850~900人(16%程度)、第Ⅱ回は600~650人(14%程度)ですから、その通りとも思えます。
しかし、得点のデータを見ると第Ⅰ回と第Ⅱ回で合格得点率も平均得点率にも大差はなく、2015年は第Ⅱ回の方が合格得点率も平均得点率も高いくらいです。従って、出題の難易度の観点からは、必ずしも第Ⅱ回が難しいわけではなさそうです。
ところが、平成29年度(2017年)は第Ⅰ回に比べ第Ⅱ回の平均得点率が8%程も低く、財務会計論に至っては33.2%でした。
冷静に財務会計論の出題を眺めてみると、平均得点率33.2%となるほどの難易度ではないので、2~3問の難しすぎる(受験上はパスすべき)問題を見て動揺してしまい、得点できるはずの問題を取りこぼしてしまった気の毒な受験生が多かったのだろうと推察します。
短答式試験全体の合格者数・合格率は、政策的に安定しているので、第Ⅰ回の合格者が多かった分、第Ⅱ回の合格者を抑えたのでしょう。実は2014年も2017年と同様に第Ⅱ回の得点率が低かったのですが、このときも財務会計論の平均が37.7%と低く、この科目でふるい落としをかけることになっているのかもしれないと勘ぐってしまいます。
論文式試験に向けて
短答式試験の結果を受けて、論文式試験の予定受験者数は3,306人になりました。例年、答案提出者数はここから300人程減少するので、実質は3,000人程度でしょうか。
言い尽くされていることですが、敢えてお伝えするなら…。
- この時期は不安に駆られて新しい資料に手を出しがちですが、これまで整えてきた手持ちの教材を丹念に繰り返しましょう。精神的に安定して学習を進められます。
- 手持ちの資料をやり尽くして、やる気が出ない時にだけ新しい資料に手を伸ばしましょう。新しい発見があれば儲けものです。
- 12月合格者の方は、5月合格者よりも時間的余裕があったことを自信にしましょう。
- 5月合格者の方は、過酷な第Ⅱ回試験を乗り越えた運と実力に自信を持ちましょう。
- 不安になったら暗記ものを勉強しましょう。例えマイナスの感情でも、感情を伴った記憶は定着しやすいといいます。それさえ無理な時は、簡単な計算問題を解くか、いっそ気分転換に一時勉強から離れましょう。
- 試験会場で我を忘れそうになった時にできるルーティン作業を用意しましょう。イチローがバッターボックスで外野にバットを向けるように。例えば、問題文にアンダーラインを引く、問題用紙をまとめてステープルで綴じる、関連条文を書き出す等。いつも通りの作業に集中すると、本来の自分を取り戻しやすくなります。
- 体調管理には十分注意して下さい。
最後に、受験生の皆さんが本試験の3日間を通して、実力が発揮できることを心より願っています。