第67回(平成29年) 税理士試験 第1回(簿記論)
受験生の皆様、暑い中、本当にお疲れ様でした。
順次、解答解説をupしていきたいと思います。
現在、簿記論・財務諸表論・法人税の解答速報、消費税法の解答解説をupしています。
簿記論
出題分野は以下の通りでした。
第一問:特殊商品売買(委託販売と受託販売)、キャッシュ・フロー計算書
第二問:企業結合(吸収合併)、退職給付会計、純資産の部の処理
第三問:総合計算問題
第一問、問1:特殊商品売買
委託販売について委託側と受託側の両方について、仕訳の空欄補充問題が中心です。但し、問われているのは受託側だけです。
「荷為替」の処理が含まれています。これはかつて日商簿記二級の出題範囲でしたが、現在は出題範囲から除外され、結果、税理士試験でのみ出題されている内容です。本問の場合は、荷為替を取り組んだ側(受託側)の勘定が適切に選択できれば正解でした。
全体として、商品の仕入単価や販売単価等の推定箇所が多く、解きにくい問題でした。受験上は後回しが正解の問題でした。
第一問、問2:キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書の空欄補充問題です。営業活動によるキャッシュ・フローについて直接法と間接法の両方が出題されていることが特徴的でした。
全体の印象としてパズルのようで、問題用紙に判明した数値から当てはめていけば自ずと答えも見えてくるタイプの問題でした。
特に間接法は、勘定を思い浮かべて(下書きして)貸借差額で必要な数値を求めることができたかもポイントになったと思います。キャッシュ・フロー計算書の構造的理解の有無、貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書との関連付けができているか否かで解答スピードに大きな差が生じたのではないでしょうか。
第二問、問1:企業結合
吸収合併の仕訳問題です。
問題上指示されることの多い合併比率について、本問では「帳簿価額による収益還元価額の平均値を企業評価の金額とする方法」によって求める必要がありました。
また、通常は発生時費用処理されるアドバイザーへの報酬が仮払金処理されており、この取扱いも判断に迷うところです。
受験上はスルーした方が良かったと思います。
第二問、問2:退職給付会計
退職給付費用の仕訳やその内訳金額、退職給付引当金の残高等が問われた、標準的な問題です。
注意点を敢えて挙げるなら、未認識数理計算上の差異の費用処理が発生年度から開始となっている点を読み落とさないこと、過年度に発生している差異についての貸借を読み誤らないこと、でしょうか。
これといって難しい内容もなく、完答出来た問題でした。
第二問、問3:純資産の部の処理
剰余金の配当、新株発行、自己株式の処分、株式交換が行われた状況で、2つの仕訳と純資産の部の2つの勘定残高、純資産の部の合計金額が問われました。
それぞれの取引の会計処理は基本的な内容ですし、その他資本剰余金がマイナスとなり利益剰余金から填補する必要があることは、純資産の部の合計金額を求める過程から気付けるはずです。
この問題も完答出来たと思います。