第67回(平成29年) 税理士試験 第1回(簿記論)
第三問:総合計算問題
決算整理前残高試算表と決算整理事項から決算整理後残高試算表の36箇所の金額を求めさせる問題でした。例年より量的に少なく、難易度もやや低めな印象で、得点源とできた問題でした。
例年通り、計算条件が複雑で、資料が問題各箇所に散らばって与えられる棚卸資産まわりですが、この回は比較的シンプルな方でした。それでも、仕入単価を販売報奨金の資料から推定する必要があったり、販売単価の推定は売掛金の残高確認の資料から読み取れたりと、手間のかかる内容でした。第一問と第二問で特殊商品売買や企業結合を後回しにして第三問に取り組んだ方は十分に対応する時間がとれたと思います。
後半部分は比較的容易で、受験上はこちらを優先するのが正解でした。
投資有価証券は、外貨建株式と外貨建債券について適切に処理出来たかがポイントでした。非上場株式(時価の把握が極めて困難)でもその他有価証券としての保有なのでCR換算する必要があることや、償却原価法での換算レートの選択が適切に行えたならクリアできた内容です。
貸倒引当金は、一般債権について貸倒実績率を過年度の平均値として算定する必要がありましたが、その他は非常に簡単な計算条件でした。
退職給付会計は、小規模な企業の簡便法でした。年金財政計算上の債務をそのまま退職給付債務とすれば良いだけなのですが、こうした簡便法は却って解きにくいところがあります。年金財政計算上の債務の期首と期末の差がそのまま退職給付費用を構成するのですが、そうしたざっくりした計算に抵抗を感じて迷ってしまうと時間をロスすることになります。
有形固定資産は、固定資産の売却と土地の減損会計が論点となっています。固定資産の売却の処理では消費税を考慮する必要があり、ここでミスすると売却損益の算定を誤ることになり注意が必要でした。
外貨建取引が仕入取引・投資有価証券・為替予約と複数あり、これらの合計として為替差損益が求まるので、この点は難易度が高めでした。
36箇所中20箇所程度、特殊商品売買や企業結合を切り捨てた方はプラス数カ所が一応の目安になるかと思います。
以上です。