公認会計士論文式試験 平成29年度 講評~第3回

第3回は経営学について振り返りたいと思います。

解答・解説はこちら → 経営学-解答・解説

第1問:戦略論・組織論

例年通り、長文の空欄補充、下線部に関連した用語説明を中心とした出題形式でした。

 問題1:事業戦略

問1.3.5.:空欄補充

問1の4箇所の空欄補充は、有名な5F分析からの2箇所と「ヒト、モノ、カネ、情報」が経営資源である1箇所は必ず埋めたいところです。

問3は簡単な計算ですからできたはずです。

問5も5F分析からの出題でした。①は大口顧客1社が売上の大半を占めている場合と小規模な多数の顧客がいる場合のどちらが業界の収益性が高いかが問われました。大口顧客1社が売上の大半を占めているとは、買い手の交渉力、値下げ圧力が強いことを意味すると分かれば、正しく選択できたと思います。

②はスイッチング・コストの高低が業界の収益性にどう影響するかが問われました。スイッチング・コストは製品・サービスの乗り換え・切り替えのコストですから、これが高い方が売り手の力が強くなると分かれば正しく選択できました。

問2.4.:記述問題

問2では、HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)と業界の競争状況・収益性との関連性が問われました。HHIは業界の各企業の市場シェアの自乗の合計ですから、小さなシェアの企業が多く参入し、競争が激しいほどHHIが小さくなります。もしピンとこなければ、2社でシェアを分け合っている場合(例えば70%と30%)と4社でシェアを分け合っている場合(2社が30%、もう2社が20%)で簡単に計算してみて答案に反映させることもできたと思います。

問4はスイッチング・コストの説明です。単に金銭的負担のみならず従来の製品・サービスに対する愛着のような心理的抵抗も含まれる点が指摘できれば完答です。