公認会計士短答式試験 平成30年度第Ⅰ回講評~第4回

 会社の計算等

問題14は資本金と準備金からの出題です。資本金は登記事項だが準備金は登記事項でない等、資本金と準備金で違いのあるところは確認した方が良いみたいですね。イの自己株式の処分では、計算の知識が役に立ったと思います。

問題15は財源規制の有無についての問題です。アの剰余金の分配等とイの事業譲渡の反対株主の買取請求は分かっても、ウとエは細かくて難しいなと思います。

問題16は社債権者集会について幅広く出題されています。知識の有無だけ問われたタイプの問題ですが、多くの受験生が確認していたはずの内容なので、案外正答率が高そうです。

 組織再編等

問題17は組織変更の問題ですが、半分は持分会社を内容としています。アの持分会社間の変更は定款変更であり組織変更ではないというのは典型論点ですが、その他は手が回らない論点な気がしますから正答できなくても仕方ない問題と思います。

問題18は組織再編行為から、基本的内容の出題です。無効の訴えの判決の効力や債権者異議については、この分野で必ず確認するところですから、アとウは正誤がつきやすかったと思います。イの新設合併の無効により設立会社が解散になるというのは、ちょっとひねりがあって戸惑ったかもしれれません。

 金融商品取引法

問題19は虚偽表示に関する損害賠償責任の問題です。監査論の知識が流用できる部分もありますが、損害額の推定があるか否かまでは監査論でも扱いませんし、難しかったと思います。今後を考えると、過失責任か無過失責任かと挙証責任の帰属は要確認かなと感じました。それを超える出題は受験上は埋没になりそうです。

問題20は公衆縦覧が必要な有価証券の募集・売出しの開示書類、つまり間接開示書類かつ発行開示書類を選ばせる問題でした。細かな条文知識がなくとも、アの継続開示書類である自己株式買付状況報告書、エの直接開示書類である目論見書が省けたら正答なので、実は簡単な問題でした。

金商法は捨てている受験生も多いようですが、毎回2問が出題されますし、今回のようにちょっとした知識さえあれば正答できるケースも少なくないので、是非、時間を割いて欲しいと考えます。

以上です。