収益認識に関する会計基準に対応する改正
先日、税制改正に関するセミナーに出席しました。
そこで、「収益認識に関する会計基準に対応する改正」についてのお話がありましたので、その一部を記事にします。
新しく規定された「収益認識に関する会計基準」が強制適用となるのは、2021年4月1日以降なので、東京オリンピックが終わった次の年からです。まだ先の話なのですが、既に、任意適用が開始されていることや、これに伴い、法人税法第22条の2が新設されるなどの動きがあります。
1. 概要
我が国においては、企業会計原則の損益計算書原則に、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とされているものの、収益認識に関する包括的会計基準はこれまで開発されていませんでした。一方、国際会計基準審議会及び米国財務会計基準審議会は、共同して収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、平成26年5月に「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。
これらの状況を踏まえ、我が国の会計基準策定主体である企業会計基準委員会は、平成30年3月30日に収益認識に関する包括的な会計基準となる企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号 「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「新会計基準」)を公表しました。
新会計基準では、約束した財又はサービスの顧客への移転を、当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(以下「取引価格」)で描写するように収益を認識することを基本原則としており、その収益を認識するために5ステップを適用して、顧客との契約において財又はサービスを顧客へ移転する約束(以下「履行義務」)を充足した時に又は充足するにつれて、取引価格のうち当該履行義務に配分した額について収益を認識することとされています。また、取引価格を算定する際に変動対価等の影響を考慮することとされています。
なお、新会計基準の適用時期は、平成33年4月1日以後開始する事業年度から強制適用とされていますが、平成30年4月1日以後開始する事業年度又は同年12月31日以後終了する事業年度から任意適用できることとされています。
(注) 中小企業(監査対象法人以外)については、引き続き企業会計原則に則った会計処理も可能とされています。
2.基本原則に従って収益を認識するための5つのステップ
新会計基準では、「当期に計上すべき収益の認識」を5つのステップに分けて説明していますが、具体的な設例にあてはめないとイメージしにくいです。ここでは、当期首に商品を販売し、その販売商品の保守サービスを2期間にわたって行う場合について、下表にまとめています。