短答式試験の講評(2019Ⅰ)~ 管理会計論

公認会計士の短答式本試験~管理会計論の講評です。
解答・解説については、以下をご参照下さい。
解答解説(2019Ⅰ)~管理会計論

問題構成ですが、理論8問、計算8問で、これは、前回と同じでした。

まず、理論8問についてです。
理論8問のうち、問題1、問題3、問題5、問題7が「原価計算基準」からの出題で、問題3は原価計算基準以外のことも問われている点も、前回の本試験と同じでした。
「原価計算基準」の短答式試験の過去問は、選択肢ベースで600問を超えているので、過去問を潰しにいくのは不効率です。FINでは、スマホで利用していただけるような「原価計算基準の穴埋め問題集」をお渡ししていますが、これが一番効率的な学習方法になります。まずは、ここで4問中4問確保して下さい。
「原価計算基準」以外の理論として、まず問題9は、「管理会計の基礎知識」からの出題です。この分野は、過去問の検討が有効です。事実、「バランスト・スコア・カード」と「品質原価計算」という、重点的に出題される分野から除外されている論点が前回に引き続き出題されています。前回の本試験をしっかりと復習していた受験生は優位性を築くことが出来たはずです。
前回、出題されたので、FINではその対策として、「バランスト・スコア・カード」や「品質原価計算」をテキストに収録し、講義の動画データも受講生にお渡ししていました。たった、数時間の学習で、他校の受験生が落としている5点を得点できるのは、大きなアドバンテージです。次回の本試験では出題されないかも知れませんが、余裕のある受験生は、対策しておくと良いでしょう。問題9では、「管理会計情報の有用性」についても問われましたが、これも前回に引き続きの出題です。

次に、問題11は、「予算管理」からの出題です。「例外管理」、「トップダウン方式とボトムアップ方式」、「予算スラック」といった、ベテラン受験生にとっては見飽きた論点からの出題なので、落とせません。

問題12は、「原価低減」からの出題で、「コスト・テーブル」、「テア・ダウン」、「ファースト・ルックVE」は、前回の問題13でも出題されています。「貸与図メーカー」や「承認図メーカー」も過去問で問われている内容なので、「原価低減」の分野は過去問をすべてチェックしておきたいところです。

問題13は、「活動基準原価計算」です。「ABCとABBは計算の流れが逆になっていること」、「4つの活動レベル」、「大量生産品と多品種少量生産が混在する場合におけるABCの優位性」、「付加価値活動と非付加価値活動」は典型論点といえるでしょう。

以上が理論8問の概要ですが、講師目線からすれば、すべて正解できるレベルの問題です。

次に計算8問です。
問題2、問題14、問題15、問題16の4問が正解しづらかったです。
時間配分としては、これら4問を後回しにして、比較的解きやすい問題4、問題6、問題8、問題10に時間を投入するのが賢明でした。

問題2費目別計算ですが、複数の計算が認められているところ、指示がないため、結局、複数の計算を行わざるを得ず、難しくはないですが、時間のかかる問題でした。

次に、問題4や問題6です。この2問は、比較的解きやすい方に分類しましたが、問題4は、仕損費を間接経費処理させているので、解き慣れてはいないでしょうし、問題6工程別+等級別は、資料が多く、しかも、仕損費について見慣れない指示があったため、正解率は、それほど高くないと予想します。
そうすると、確実に正解できるのは、問題8標準原価カード問題10CVP分析の2問だけということになります。
問題14業務的意思決定問題15ミニプロフィットセンター問題16設備投資の経済計算については、見た瞬間に難問であることが伝わってきます。こういう場合は、自分の得意分野の問題を一つ選んで、その1問に集中するようにしてください。

今回の計算問題は、いずれも良問です。難しかった問題14、問題15、問題16は、過去問の数値替えといった類いの問題ではなく、熱心に作問された良問です。ただ、如何せん量が多すぎです。

管理会計論については、2006年に短答式試験が導入されて以降、合格者の平均点が最も低くなりそうです。