第158回日商簿記検定 講評~工業簿記・原価計算

6月13日(日)に実施された第158回日商簿記検定工業簿記・原価計算の講評です。

工業簿記

第1問は、部門別計算、第2問が材料費の計算でした。

第1問:部門別計算

よくある部門別計算の問題でした。
補助部門が2つ、製造部門も2つ、階梯式配賦法ですが、動力部から事務部へは用役を提供しておらず、優先順位となる事務部には固定費しか存在しないため、計算量は少なめです。
事務部費は従業員数、動力部費はkwhを基準に配賦するのもいつも通りです。資料3.から、「当事業年度はフル操業する予定」ということが読み取れるので、動力部の予定変動費率は、動力部門の変動費予算額を年間用役供給能力で除して求めます。まぁ、他に資料がないので、皆がこう計算したはずです。
動力部門費の配賦方法ですが、「変動費に関しては原価管理の観点から予定配賦率を用いている。」という指示を裏読みして、「固定費は実際配賦を行っている。」と判断します。与えられている資料を利用して固定費を予定配賦できるにもかかわらず、管理会計上問題のある実際配賦で計算するのは、賢明な受験生ほど戸惑ったと思います。
理論については、解答・解説をご参照下さい。

第2問:材料費の計算

材料勘定の作成問題ですが、大原、TAC、東京CPAの解答速報が異なっていました。FINの解答速報は、大原と一致しています。
予定受入価格@1,000で材料を購入し、消費した材料も@1,000で評価します。実際には、@1,004(総平均単価)でしか購入できなかったので、棚卸減耗損の実際発生額と期末材料は@1,004で評価しています。材料として消費したものに使用する予定消費価格@1,000は、間接経費とされる棚卸減耗費には使用しないという古くからの計算慣行に従って、解答速報を作成していますが、専門学校によっては、棚卸減耗費も@1,000で計算してます。
経理自由が原則なので、もう少し丁寧に資料を与えないと、今回のように、専門学校によって解答がバラバラになってしまいます。こういった場合、公認会計士の短答式試験であれば、作問の不備を認め、全員正解にするのが常です。日商の場合、解答も配点も公表されず、どのような対応をしたのかもよく分からない、というのが実情です。

原価計算

第1問:CVP分析

比較的易しいCVP分析の問題でした。安全余裕率や損益分岐点比率というワードを正確に書けなかった受験生も案外、多かったかも知れないですね。
修正予算ですが、第2四半期~第4四半期の販売予算合計が5,100個ということは把握できますが、各四半期の内訳が不明でした。不明では解答できないので、各四半期の予算販売量は、それぞれ1,700個(=5,100個÷3)であると仮定して計算せざるを得ません。ここも資料の欠落です。

第2問:理論問題

理論問題の対策は独学では難しく、やはり、専門学校で受講した講義の中で、少しずつ身につけていく他ないと思います。
詳細は、解答・解説をご参照下さい。

以上です。