令和6年度第Ⅰ回公認会計士短答式試験講評~管理会計論
令和6年第Ⅰ回 管理会計論 短答式本試験の講評です。
今回の合格ラインは 75%でした。管理会計論の平均点は43.1%で、全体の平均点50.5%を大きく下回っています。管理会計論単体での合格ラインは 68点程度を想定しておけば良いでしょう。
詳しい解答・解説はこちらからどうぞ。
令和6年第Ⅰ回公認会計士短答式~管理会計論
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問題1:原価計算基準4***(理論)
頻出論点である「基準4 原価の諸概念」からの出題で、「最大操業度」が「最小操業度」とされ、「比較的長期」が「比較的短期」とされているだけなので、正答必須の問題です。
正答して、気分よく、問題2に移行できたはずです。
問題2:費目別計算**(計算)
材料副費の予定配賦に関する問題です。一括配賦と費目別配賦が問われていますが、一括配賦の計算だけで正答できるため、結果的には簡単な問題でした。ただ、それは結果論なので、費目別計算が苦手な受験生が本問を回避したとしても、受験戦略上、後悔するような選択ではありません。
問題3:原価計算基準16***(理論)
「基準16 原価部門の設定」からの穴埋め問題です。頻出論点なので、正答必須です。
問題4:個別原価計算*~仕損費の間接経費処理(計算)
個別原価計算における仕損費は直接経費処理が通常ですが、今回は間接経費が出題されました。 実は、2019年第Ⅰ回とほぼ同じ問題です。「仕損が発生する部門の予定配賦率に仕損費予算分を含ませておくので、仕損費の実際発生額をその発生部門の借方に集計する必要がある。 」ということさえ理解できていれば、正答可能です。留意すべきは、通常、製造部門勘定には製造間接費のみが計上されますが、間接経費処理の場合は、補修製造指図書等に集計される直接材料費や直接労務費も仕損費の実際発生額として、製造部門勘定に計上される、という点です。
問題5:等級別総合原価計算~当期製造費予按分法***(計算)
正答必須の等級別総合原価計算(当期製造費用按分法)の問題です。。
問題6:原価計算基準22***(理論)
「基準22 等級別総合原価計算」からの出題ですが、「同種製品」とされるべきところが「異種製品」とされていたり、等価係数の例に「販売価格」が含まれていたりと、正誤判定しやすい問題でした。。
問題7:標準原価計算***(理論)
ここまでの理論よりは難易度は高いですが、なんとか正答してほしい問題です。
問題8:標準原価計算**~修正パーシャル・プランによる勘定記入(計算)
どのような順番で空欄を埋めていくのか、事前に筋道を立てることができれば、効率よく解答できます。時間節約のため、差異分析図は書きたくないですから、借方合計のイを算定して、差引計算でウの操業度差異を算定するのが良さそうです。
また、仕掛品勘定の空欄となっている勘定科目の数から、修正パーシャルプランを適用していることを読み取る必要があります。
問題9:管理会計の基礎知識***(理論)
管理会計の基礎知識については、毎回出題されていることもあって、そろそろネタ切れ感がでてきています。PDFの詳細解説に過去問を示しておきますが、特に、本問は、過去問のコピペに近い出題でした。
問題10:財務情報分析***~投資利益率の分解分析(計算)
財務情報分析は、指標の計算公式を暗記しておく必要があり、敬遠されがちな論点です。ただ、今回は、分解分析も含め、問題文に従って解答すれば正答が得られる問題でした。
問題11:CVP分析***~感度分析(計算)
CVP分析は、いくつかの計算公式を覚えておけば、確実にスピードが期待できる分野です。管理会計論は、暗記事項があまりない科目なので、是非、覚えておくようにしてください。
問題12:予算管理**(理論)
エ.が誤りなのは明らかですが、ア~ウのうち、イが誤りと判定するのが難しかったはずです。
イ.が誤り出るとする論拠として、各専門学校の解答速報では、イ.の記述における「計画機能」は、正しくは「統制機能」である、としています。ただ、修正された予算を「実行予算」ではなく、「修正予算」だと考えて、正解にたどり着いた受験生も少なくないはずです。
問題13:資金管理***(理論)
計算問題として出題されると「捨て問」とされがちな資金管理の論点ですが、理論では容易な問題も出題されます。今回も正答が期待できる問題でした。
問題14:経済的発注量の計算と差額原価分析*(計算)
2011年第Ⅱ回で初めて出題されて以来、2回目の出題となる経済的発注量の計算です。√ボタンを押す貴重な体験ができた受験生は幸せ者です。
問題15:設備投資の経済計算*(計算)
投資判断基準の比較問題は、過去に何度も出題されていますが、過去問の平均的な難易度よりは難しかった印象です。
問題16:事業部制組織の管理会計***(理論)
購入原価線と自製原価線のグラフを作成し、原価は小さい方が有利なので、購入原価線と自製原価線の下を辿るように意思決定します。問題文を読みながら、グラフを描けるのであれば、容易な問題です。