会計士受験と税理士受験の乗り換え 第1回

税理士受験生が会計士試験の合格を目指すなら

税理士試験の簿財合格者は、会計士短答式試験の財務会計論が免除され「企業法・管理会計論・監査論」だけを受験することになります。財務会計論以外の科目や論文式試験に進んだ場合については、会計士試験科目案内 を参照して下さい。

ここでは、税理士簿財の合格を目指していた方が、会計士短答式財務会計論を攻略するために必要な対策を紹介したいと思います。

 計算問題対策

税理士簿財の学習をしっかり進めていれば、個別論点については特に問題はないでしょう。プラスの対策が必要なのは、連結会計周りです。

会計士短答式試験で総合問題が出題される連結会計、連結財務諸表と個別財務諸表で取扱いが異なる退職給付会計や包括利益計算書関連、税理士試験で出題頻度の低いキャッシュ・フロー計算書も追加の対策が必要です。

会計士試験での連結会計は、短答式試験より論文式試験の方が難易度が高いので、論文式試験まで見据えると、しっかり講義を受けてまっとうに知識を身につけるべきです。キャッシュ・フロー計算書も同様です。

退職給付会計は、税理士試験では個別財務諸表上の退職給付引当金が求められれば十分ですが、会計士試験では個別から連結への組替え、未認識数理計算上の差異等の取扱い、その他の包括利益の組替調整についても求められます。この部分について追加的に学習する必要があるでしょう。

 理論問題対策

会計士短答式試験の理論問題は、正誤判定問題が中心です。記述のスキルは必要ありませんが、税理士試験の財務諸表論よりも出題範囲が広く、細かい傾向があります。

以下の点を意識して知識を補強する必要があるでしょう。

  1. 出題範囲として、計算問題と同様に連結会計周りのウェイトが増し、逆に財務会計の総論部分(企業会計原則、損益会計・資産会計等)のウェイトは減る。
  2. 会計処理の論拠だけでなく会計基準設定の変遷やその背景等も問われる。

 

以上です。