公認会計士試験 平成29年度 短答式試験 第Ⅱ回
管理会計論
理論が9問、計算が7問という構成でした。理論9問中3問が原価計算基準からの出題で、前回から1問減少しています。今回の難易度からすれば、原価計算基準の問題は、全て正答したいところです。
原価計算基準以外の理論問題ですが、管理会計論の理論は、計算論点を丁寧に学習していれば、自然に身につくものがほとんどです。「理論は計算に結びつけて理解」という意識を日頃からもっていれば、高い正答率でクリアできます。ただ、問題11は専門学校によって解答が分かれています。合格発表の日に正解が公表されますが、1と4のどちらが正解となっていてもおかしくない問題です。
次に計算ですが、実際原価計算から3問、意思決定から2問、財務情報分析とCVP分析から各1問ずつ出題されました。
問題15の連産品の意思決定は、追加加工の可否という典型論点を「パック、丁、グラム、袋」といった異なる単位を利用しながら計算させる良問です。しかし、資料が多く、「豆乳ににがりを加えることにより豆腐が産出される。」といわれても、「にがりって何?」となって、捨てた受験生も多かったと思います。本番では、捨てるべき問題ですが、試験委員が時間をかけて作った良問です。解説を見ながらで構わないので、解いてみて下さい。
問題2の材料副費の計算、問題4の原価計算表の穴埋め、そして問題6の工程別の増量計算は、過去問で出題された計算パターンです。また、問題8の最適セールスミックスや問題11のCVP分析は、簡単すぎて、「何か見落としているのではないか?」と、逆に不安になるような問題でした。
ただし、問題10の財務情報分析は、固定長期適合率や自己資本比率、インタレスト・カバレッジ・レシオといった各比率の計算公式を覚えていないと解けない、少し骨のある問題でした。覚えにくいインタレスト・カバレッジ・レシオは、「支払利息(=インタレスト)が、カバーされている(=カバレッジ)割合(=レシオ)」です。そして、何でカバーされているか?というと、ここは覚えておく必要がありますが、「事業利益」でカバーされている、ということでした。結局、「支払利息の何倍の事業利益があるのか」を計算していることになります。ちなみに、「事業利益」は財務情報分析でしか算出する機会のない利益概念で、「営業利益+受取利息・配当金」です。
最後に、次の試験に向けて、コメントしてみます。
- 2回続けて費目別計算が出題されたので次回は出題されない。
- あるいは、労務費 → 材料費ときたので製造間接費が問われる。
- 普段出題されている部門別計算が出題されなかったので、次回は出題される。
- 業務的意思決定が2問出題されているので、次回は設備投資が出題される。
管理会計論はヤマ当てするほど範囲の広い科目ではありませんが、多くの専門学校が上のような予想をするはずです。