第66回(平成28年)税理士試験分析-第1回

 第二問:個別問題

出題分野は以下の通りでした。

問1:リース取引の仕訳問題

問2:ソフトウェアの仕訳問題

問3:資産除去債務の仕訳問題

問1:リース取引

問1は、ファイナンス・リース取引とセール・アンド・リースバックの仕訳を問われています。

ファイナンス・リース取引とは明記されていないので、ファイナンス・リースの判定・所有権移転か所有権移転外かの判断が必要になります。ノンキャンセラブルかは契約上の問題なので指示がありますし、フルペイアウトかは多くの場合に経済的耐用年数基準で簡単に判断できます。

所有権移転外か否かは貸手の場合には勘定名が替わりますし、減価償却方法にも影響するので重要な判断になりますが、今回は借手の仕訳のみ、解約不能リース期間=残存経済的耐用年数となっていたので判断を誤っても結果として問題はありませんでした。

セール・アンド・リースバックでは、取引最終期の仕訳が問われており、リース料が前払い(利息計算は時の経過に応じて後払い)で端数調整が最終回に行われること等を考慮して丁寧に利息計算ができたかがポイントでした。

問2:ソフトウェア

問2では、まず、研究開発活動関連の支出を費用処理するものと資産計上するものに区別させています。製品マスター制作費で「研究開発費」、機能維持費で「修繕費」、操作性向上で「ソフトウェア」etcと正確に覚えていたかどうかでしょう。

次にソフトウェアの償却ですが、勘定の指定がないので「ソフトウェア償却」で通しても間違いではありません。ただし、未償却残高が翌期以降の収益を上回り減損処理をするため、「費用または損失として処理する」減損損失を区別した仕訳にしたいならば、見積販売数量での償却費には売上原価勘定を使う等する必要が出てきます。

 問3:資産除去債務

問3では、資産の取得時・2期経過後・除去時の仕訳が問われています。

除去時の支出額を求めるにあたり、解体業者の労務費・間接費・利益を求める簡単な計算要求されています。解体業者にとっては利益でも、支払う側からは区別する必要はないので、解体業者の利益も資産除去債務の計算に含めます。一度でも問題集等で接していれば解けたと思います。

将来の支出額の見積変更があるので、割引率の選択が正しくできたか、履行差額の取扱いが適切かといったこともポイントになったと思います。