公認会計士論文式試験 平成29年度 講評~第5回

 問題2:税効果会計

ひねられはいますが、典型論点からの出題でしたから、納得のいく答案が書けたのではないでしょうか。

問1:繰延法と資産負債法の適用税率の選択

一時差異等発生期の税率を適用する考え(繰延法)と一時差異等解消期の税率を適用する考え(資産負債法)の目的について問われました。

発生期の法人税等と税引前当期純利益の対応を図る損益計算書側の目的と、解消期の法人税等支払額への影響を開示する貸借対照表側の目的を対比させて説明できれば十分でした。

問2:税率変更時の処理

税率の変更があった際に、繰延税金資産を再計算することが、資産負債法の考えによることは選択できたと思います。

その理由は、「資産の定義に照らして」と指示があるので、税率の変更に伴う将来の法人税等支払額の変動が、資産の定義にある「経済的資源の変動」であると関連づけた答案にできたかがポイントでした。

問3:相殺可能な繰越欠損金が税効果会計の対象となる理由

資産負債法の考えと整合することは選択できたと思います。

理由の説明には、問1の資産負債法の目的との関連から、将来の法人税等支払額の減少をもたらす効果を指摘すれば正答です。