平成30年 公認会計士 論文本試験 講評~経営学

第2問  財務論

問題1 事業価値の算定、リアル・オプション

問1はまるで管理会計論の設備投資の経済計算のような問題です。キャッシュ・フローの期待値でNPVを算定するだけですから、正答できたはずです。

リアル・オプションは、かつては管理会計論でしっかり学習済みだった論点ですが、今はそうではないようです。簡単に説明すると、不確実性に対処するために実物資産(リアル・アセット)への投資において、不確実性が解消する将来まで投資を遅らせたり(延期オプション)、予備的な投資だけして様子をみて投資規模を拡大するかを判断したり(拡大オプション)する選択肢(オプション)を投資の評価に考慮するものです。今回は延期オプションに該当しますが、延期オプションの計算として学習していなくとも、「1年目終了後に投資プロジェクトを実施した場合」との指示と、NPVがマイナスになるような投資は行わないとの判断から、ディシジョン・ツリーを思い浮かべて解くことができたら良かったと思います。

リスク中立確率の計算は、原資産価格をいつもの株価に置き換えて計算できたと思います。

問題2 加重平均資本コスト

この問題のポイントは、余剰現金の取り扱いに掛かっています。余剰現金に対応する期待収益率を無リスク利子率1%とできたら、あとはCAPMの式とWACCの式に当てはめるだけです。しかし、無リスク利子率と気づけなかったなら芋づる式に間違えてしまいます。5:5,いや7:3位でできなかったかなあ、という問題でした。

問題3 債券投資

問1は要求されているのが先物レートと気づけたら解けました。債券投資の利率の出題可能性は予想されていましたから、皆さん対策済みだったと思います。

問2のデュレーションの計算も練習してあったと思います。式を覚えるしかないので、できるできないが分かれたかもしれません。

問題4 オプション

問1と問5は知識があるかないかです。財務論は計算優先で理論対策は後回しになりやすいので、難しかったのではないでしょうか。

問2~4は、ヘッジポートフォリオや複製ポートフォリオの手法が理解できているかが問われています。特にショートポジションは、ロングポジションより理解に一ひねり必要な気がするので、キャッシュ・フローのプラス・マイナスが逆にならないよう注意して解く必要があります。オプションプレミアムの結果が一致することで検算も可能ですが、そこまで余裕のある方は少ないですよね。

以上です。