論文式試験への心構え~会計学(午後)財務会計論

財務会計論の出題は、第3問は「計算+理論」×2組、第4問は「理論」×4分野、第5問は「連結総合計算問題+理論」という形式が定着しています。このところは、第4問に簡単な計算が含まれ、その数値を踏まえた理論問題となっている点が変化といえば変化です。

素点ベースの合格ボーダー

2018年 2019年 2020年
第3問 36点/60点 37点/60点 37点/60点
第4問 35点/70点 37点/70点 28点/70点
第5問 31点/70点 27点/70点 36点/70点
合計 102点/200点 101点/200点 101点/200

 

問題のボリューム:計算箇所の数、理論答案用紙行数

2018年 2019年 2020年
第3問 計算18箇所

理論6行

計算18箇所

理論7行

計算18箇所

理論6行

第4問 計算1箇所

理論39行

用語1

計算3箇所

仕訳2

理論33行

計算1箇所

仕訳2

理論38行

用語10

第5問 計算18箇所

理論36行

計算40箇所

理論17行

用語2

計算40箇所

理論18行

  ※ 計算箇所については、単に転記するだけ、単純合算するだけの、配点がないと予想される箇所は除いてカウントしています。

計算問題は、第3問の方が第5問より解きやすい傾向になります。第3問の計算を「18箇所中、最低10箇所は正答することが目安」となり、理論問題の難易度に応じてどれだけ上乗せすれば良いかが変わってくる、と考えることが出来ます。理論問題にてごたえがないなら、計算をもう少し頑張ってみましょう。

理論問題には、大きく分けて「会計処理を問う問題」と「思考力を問う問題」があります。合格ボーダーの低さから判断して、「会計処理を問う問題」を確実に得点することが肝要といえるでしょう。計算の知識を援用できますし、配布されている「法令基準等」を活用できる場面もあるからです。「思考力を問う問題」は難問であることが多く、受験生間で差がつきにくいでしょうから、さらりと流して時間を掛けすぎないように注意してください。

第5問の連結会計について、もう少し・・・
会計学(午前)管理会計論は120分で配点100点ですが、第5問の連結会計は50分~60分の内容で70点も配点があります。そこで、受験生は、多少、管理会計論をおろそかにしてでも、連結会計に多大な労力と時間をかけています。
そんな受験生の努力を全く顧みない、受験生全員を壊滅状態に陥れるような問題が2016年(平成28年)に出題されています。全員ゼロ点では、試験として機能しないため、当時、大批判を受けました。そういうことがあったため、2017年以降の難易度は、比較的安定しています。といっても、もちろん、短答式の連結総合問題よりは難しいです。計算については、時間をかければ短答式の問題を80%得点できる受験生が、6~8割程度埋めることのできる難易度です。
論文受験にあたって、非常に重要になるのは、「短答式の連結総合問題を80%得点できる受験生が埋めるであろう解答箇所だけ狙いにいく。」という感覚です。こういう感覚をもって、試験を受けている人は、本当に本試験に強いです。

第5問全体に70点の配点があることしか公表されていませんが、計算40点、理論30点くらいのイメージで良いと思います。

計算については、2018年は解答箇所が18箇所なので1箇所あたり1点~3点の配点、2019年と2020年は@1点×40箇所となります。
先の感覚からすれば、狙いにいくのは、2018年は12箇所/18箇所、2019年は22箇所/40箇所、2020年は34箇所/40箇所でした。時間の制約や計算ミスを考慮して、狙いにいった解答箇所の7割を正答できれば、合格ラインに到達できる。と想定しながら解いてください。

また、理論については、例えば、「〔資料Ⅱ〕3.の取引についてZ社が行うべき個別財務諸表および連結財務諸表における会計処理を,現行基準に基づいて説明しなさい。」といった、会計処理を記述させる問題や「45%を取得した段階において,同社をP社の子会社とする可能性があるが,子会社に該当するか否かの判定は,どのように行われるか説明しなさい。」といった、もっているであろう知識を記述させる問題が出題されます。このような、きちんと講義を受講していれば対応できる問題はもちろん丁寧に、また、自信がない論点は乱暴な解答になりがちですが、そういった問題ほどよりいっそう丁寧に解答するように心がけてください。

会計学(午後)財務会計論の心構えは以上です。

資格試験のFIN