公認会計士論文式試験 平成29年度 講評~第4回
問題2:標準原価計算
いわゆる標準原価カードの論点で、計算が2問、理論が2問出題されています。
論文式で出題される標準原価計算は、難易度の差が激しいのが特徴ですが、本問は終点発生の計算パターンだったので、短答式の問題としても簡単な部類、難易度の低い問題でした。
理論についても、真実の原価を実際原価と考えるのか、標準原価と考えるのか、といった典型論点が出題されています。前者の立場に立つと、売上原価、期末製品、期末仕掛品を最初から実際原価で計算したのと同じ計算結果になるように、原価差異を配賦することになります。これに対し、後者の立場では、原価差異は、製品原価を構成しない無駄なコストとして、非原価処理されます。
最後に、「原価計算制度」について、問われています。短答式本試験を受験したばかりの受験生以外には、手薄な「原価計算基準」からの出題です。「基準2 原価計算制度」では、「計算秩序」と「計算体系」が使い分けられていて、本試験では、「計算秩序」が問われています。しかし、「財務会計機構と有機的に・・・」で定義づけられる「計算体系」を書いた受験生も多かったと思います。おそらく、「計算体系」でも大きくは減点されないはずです。以下に、「基準2」を示しておきます。
2 原価計算制度(一部抜粋)
この基準において原価計算とは,制度としての原価計算をいう。
原価計算制度は,財務諸表の作成,原価管理,予算統制等の異なる目的が,重点の相違はあるが相ともに達成されるべき一定の計算秩序である。
かかるものとしての原価計算制度は,財務会計機構のらち外において随時断片的に行なわれる原価の統計的技術的計算ないし調査ではなくて,財務会計機構と有機的に結びつき常時継続的に行なわれる計算体系である。